使えます。同梱のガイドに、4点の道具と電気ケトルで完結する流れを記しています。作法は、あとから興味が湧いたときで構いません。
茶箱とは?
茶箱は、抹茶を点てる道具一式を納めた、広げた手のひらに乗るほどの小さな箱です。
茶碗、棗(抹茶の器)、茶杓、茶筅——蓋を開ければ、すべてが揃っています。
湯さえあれば、どこでも本格的な一服を点てられます。
自分のための特別な時間に。大切な方への贈り物にも。
たとえば、こんなふうに。
贈り物として。
自宅で抹茶を楽しむための、茶碗と茶筅のセット。いまでは多くのお茶屋さんで売られるようになりました。
日常的に使うものだからこそ、上質なものを使ってほしい——私たちはそう考えています。
茶箱は、その最上のかたちです。
点てるための一式が、選び抜かれた道具で、ひとつの箱に納まっている。
桐箱と熟成抹茶を添えれば、大切な方への贈り物になります。
ご自分のために。
疲れた夜、机の上で静かに箱を開ける。
湯を注ぎ、茶筅を振る。
スマートフォンの電源は、切ってしまいましょう。デジタルノイズも、いっしょに断ち切ります。
十分ほどの、自分を大事にするための、ひとりの茶会です。
終われば道具は箱に還り、机は元の机に戻ります。
そしてあなたも、日常へ戻っていきます。ただ少しだけ、心おだやかに。
ゲストのおもてなしに
和室がなくても、日本の伝統と美、茶の湯の精神を、テーブルの上で伝えられます。
これは和室がないための代用ではありません。道具を携えて茶を振る舞う——利休の時代から続く、正統な楽しみ方です。
箱を開け、道具が現れ、目の前で茶が点つ。
その所作と景色ごと、大切なゲストに楽しんでいただく。日本のおもてなしです。
利休形茶箱 一式 松文様
抹茶を点てるための一式が、ひとつの漆塗の箱に納まっています。
蓋には、金の細線で描かれた松唐草の文様。常緑の松と、途切れず伸びる唐草——長く使う道具に好まれてきた、吉祥の取り合わせです。
蓋を開けると、道具が一点ずつ現れます。小服茶碗。菊と桐の文様が入る棗と茶筅筒。小さな菓子のための振出。茶巾と茶巾筒。袋に納めた竹の茶杓。仕覆二点。帛紗。掛合。そして、茶筅を立てるための金具「うぐいす」——裏千家の月点前で用いられる道具です。
共箱には「利休形 茶箱」の箱書きがあります。
無銘です。この種の道具の多くがそうであるように。確認できたことは下記にすべて記し、確認できないことは書きません。
茶箱の点前は、柄杓と水指を使いません。湯は鉄瓶から直接注ぎます——つまり、電気ケトルがあれば足ります。4点の道具で完結する点て方のガイドを、すべての茶箱に同梱しています。
箱の中に納まる、道具のすべて
この小さな箱に、すべてが納まります。
数百年のあいだ、茶人と職人が工夫を重ねてきた設計です。
手に取るとわかりますが、道具はどれも、茶箱のために一回り小さく作られています。
同じ形を小さく作ることは、職人にとって、かえって手間がかかります。
だからこそ茶箱の道具は、それだけで貴重な工芸品です。
では、一点ずつ、ご紹介します。
茶碗(小服茶碗)
通常の抹茶碗より一回り小さな碗。それでも抹茶の香りと色は、しっかりと楽しめます。碗を傾ければ視界がやわらかく遮られ、茶の世界にのめり込める。この小ささが、箱の設計の起点になります。
棗(なつめ)
抹茶を納める蓋物。手のひらに隠れる寸法です。
茶杓
抹茶をすくう匙。袋に納めて仕舞います。
茶筅と茶筅筒
湯と抹茶を攪拌する竹の道具と、その繊細な穂先を守る筒。
茶巾と茶巾筒
茶碗を拭き清める麻布と、その水気をほかの道具に移さないための筒。
振出
金平糖などの小さな菓子を入れる小壺。傾けて、振り出して使います。
仕覆
器を包む裂の袋。移動のあいだ、緩衝材の役目も果たします。
帛紗
道具を清める絹布。
掛合
箱の中の浅いトレイ。道具を上下に仕切ります。
うぐいす
茶筅を立てるための小さな金具。裏千家の「月点前」で用いられる道具です。名を知る人の少ない道具まで、この箱には納まっています。
仕込みにも、順序があります。
茶碗の見込みに古帛紗を敷き、その上に棗を包むように納める。
筒物は立てて並べ、帛紗が全体をやわらかく押さえる。
硬い陶磁と繊細な漆が、互いを傷つけない設計です。
茶道では、茶箱の使い方にも正式な点前が定められています。
その点前は、柄杓と水指を使いません。
鉄瓶から、直接注ぎます。
つまり、電気ケトルでも楽しめる。
これが、茶箱をいまの暮らしに取り入れられる、いちばん大きな理由です。
茶箱の歴史
茶箱は、いつからあるのか。
茶の湯が大成した利休の時代にはすでに、道具を携えて出かけ、外でも自分の道具で茶を振る舞う楽しみがあったと伝えられています。
茶箱や茶籠はその器で、利休好み・宗旦好みと伝えられるものが、現に残っています。
1590年、小田原の陣に同行した千利休は、陣中でも茶を点てています(伊豆韮山の竹で花入を作ったと伝わります。銘「園城寺」、東京国立博物館蔵)。
戦の最前線ですら、茶の席は持たれていた。
茶の湯が、それほどに大事にされていたということです。
その茶を携えるための器として、茶箱はあります。
定まった作法のなかった茶箱に点前を与えたのは、裏千家十一代・玄々斎です。
雪、月、花の点前を創案し、のちに夏の「卯の花」を加えて四季を通しました。
卯の花は十三代・円能斎の改良を経て、十四代・淡々斎が「和敬点」「色紙点」を加え、現在の六種になります。
茶箱は、簡易セットではありません。
歴代の家元が百七十年あまり磨き続けてきた、正統の点前の器です。
本物の価値を知り、感じてくださる方に、お届けしたい一品です。
合わせるのは、熟成抹茶
なぜ、寝かせた「熟成抹茶」を合わせるのか。
この箱が積んできた時間に、釣り合う茶だからです。
春に摘んだ碾茶を茶壺に納め、ひと夏寝かせて、晩秋に封を切る。
「口切り」と呼ばれるこの茶が、利休の時代から最上とされてきました。
六本木製茶場の熟成抹茶は、この伝統に沿って作られています。
宇治・祥玉園(文政10年・1827年創業、当代は茶師十段)の碾茶を、六本木で約半年熟成させ、石臼で挽く。
濃茶「龍土の昔」、薄茶「東雲の白」。
本物の器には、本物の日本の茶を。
できたてのてん茶葉には、若さゆえの角(かど)が残ることもあります。
だからこそ、てん茶葉は静かに寝かせるのです。
春に摘まれた新芽は茶壺(ちゃつぼ)に封じられ、蔵の中で夏を越して熟成の時を重ねます。これこそが、日本が古来より守り継いできた、本来の抹茶の製法です。
現在は世界的なブームにより、てん茶を寝かせることなく、すぐに抹茶へと挽いてしまうことが多くなりました。かつては当たり前であった本来の姿を、あえて「熟成抹茶」と呼んでご案内せねばならないこと自体、少し残念なことなのかもしれません。
晩秋の「口切りの茶事」で茶壺の封を切り、そこで初めて、その年の抹茶が挽かれるのです。
そこに待つのは、丸みを帯びて深く育まれた甘みと、圧倒的な余韻を残す香り。
六本木製茶場で手間暇を惜しまず、じっくりと時間をかけて作られた「熟成抹茶」の深い味わいを、どうぞ心ゆくまでお愉しみください。
おいしさの面でも、この製法を裏づける研究があります。
碾茶を6ヶ月熟成保存して調製した抹茶は、官能評価でうま味・甘味が増し、渋味・苦味が抑えられ、まろやかと評価されました。
ビタミンCの残存率は80%以上、クロロフィルにも変化なし——品質を損なわず、味だけが円くなる。※
江戸の昔から茶人たちが積み上げてきた茶箱の時間と、忙しない六本木のまんなかで静かに眠っていた茶の時間が、碗の中で重なります。
贈り物に
茶箱に、熟成抹茶を合わせ、桐箱に納めてお渡しします。
濃茶「龍土の昔」または薄茶「東雲の白」。
贈るのは道具ではなく、受け取った人がこれから持つ、静かな時間です。
Secondary Marketについて
この茶箱は、新品ではありません。
誰かが誂え、仕舞い、伝えてきた道具です。
私たちは、確認できた事実——箱書き、構成、状態——を一点ずつ記します。
確認できないことは、書きません。
茶箱のよくあるご質問
作法を知らなくても使えますか?
ほかに必要なものはありますか?
湯(電気ケトルで可)と抹茶だけです。
どの茶箱も中身は同じですか?
いいえ。茶箱は一点ごとに来歴が異なり、構成も少しずつ違います。羽箒が付くもの、仕覆のないもの——それぞれの構成は、商品ページに一点ずつ記しています。いずれの茶箱も、茶箱を楽しむために必要な道具が揃っていることをwanovaが確認したうえでご紹介しています。
茶葉を保管・輸送する大きな「茶箱」とは別のものですか?
同じ言葉が使われますが、別のものです。茶葉の保存や輸出に使われてきた杉の大箱も「茶箱」と呼ばれます。このページでご紹介しているのは、茶の湯の世界で生まれたもうひとつの茶箱——点前の道具一式を納めて持ち運ぶための、小さな箱です。
お手入れは?
茶碗は水で洗い、よく乾かします。漆器は乾いたやわらかい布で拭くだけです。詳しくは同梱のガイドに記しています。