畳のサイズが地域によって異なるからです。関西を中心とした京間はおよそ191×95.5cm、関東を中心とした江戸間はおよそ176×88cm、その中間に中京間があります。集合住宅向けにさらに小さい寸法もあります。同じ「六畳」でも、実際の面積は変わります。なお不動産の広告では、1畳を1.62平方メートル以上として換算する取り決めがあります。
The Art of SHOJI
畳とは? - 畳とは、床であり、家具である。
その定義
畳とは、藺草(いぐさ)を織った表を、厚みのある芯材に張り、縁で縫い留めた床材です。
最大の特徴は、床でありながら、その上に直に座り、寝られることです。椅子やベッドを置いて使う床とは、受け持つ役割の範囲がちがいます。畳の部屋では、床がそのまま座る場所になり、寝る場所になる。
つまり畳は、床であると同時に、家具でもある。日本の住まいが長いあいだ、家具をあまり持たずに成り立ってきた理由のひとつが、ここにあります。
Context — 畳はどう敷かれるか
られた、ひと続きの面です。だから畳の部屋は、まず「何畳か」で語られます。
敷き方には作法があります。ふつうの住まいでは、合わせ目が十字に交わらないように並べます。四枚の角が一点に集まる敷き方は、寺院や不祝儀の席で用いられるものとされ、日常の座敷では避けられてきました。呼び名や扱いには地域差・流儀差があります。
そして畳の縁は、部屋の中に線を引きます。どこに座るか、どこを通るか。家具のない部屋なのに居場所がなんとなく決まってくるのは、この線があるからだと感じます。
畳の構成

一枚の畳は、いくつもの部材でできています。名前を知ると、見え方が変わります。
- 畳表 tatami-omote — 藺草を織った表面。人が触れる面であり、いちばん先に消耗する面でもあります
- 畳床 tatami-doko — 芯になる厚い層。伝統的には藁を圧縮したもの、現代は木質繊維板や発泡材を用いたものもあります
- 畳縁 tatami-beri — 長辺を縫い留める布。畳を保護し、部屋に線を引きます。かつては、この柄が座る人の格を示しました(→ 歴史)
- 框 kamachi — 縁のつかない短辺の小口
畳の大きさは、地域によって異なります。関西を中心とした京間はおよそ191×95.5cm、中京間はおよそ182×91cm、関東を中心とした江戸間はおよそ176×88cm。集合住宅向けにさらに小さい寸法もあります。いずれも目安で、実際には部屋の寸法に合わせて一枚ずつ仕立てます。「六畳」が同じ広さを指さないのは、このためです。
縁を付けず、正方形に近い形で市松に敷く畳もあります。「琉球畳」と呼ばれることが多いのですが、本来の琉球畳は七島藺(しちとうい)という別の草で織ったものを指します。呼び名の使われ方には幅があります。
畳は何のために生まれ、なぜ日本の住まいの床になったのか。
畳とは、床であり、家具である。
床に座り、床に寝る。その暮らし方を、床の側が引き受けたからです。椅子とベッドで暮らすなら、床は硬くて構いません。しかし床の上で直に過ごすなら、床には別の性質が要ります。適度にやわらかいこと。素足で気持ちがいいこと。湿気を吸い、また吐くこと。藺草と藁は、その条件を満たす素材でした。
畳が一枚あれば、そこは座敷になり、寝室になり、客間になります。用途を家具で固定するのではなく、床の性質で受け止める。だから同じ部屋が、時間によって役割を変えられました。日本の住まいの融通のよさは、この床から来ています。
そして畳は、消耗することを前提に組み立てられています。傷むのは表だけ。裏返し、表替え、新調と、傷み方に応じた直し方が用意されている。壊れないことではなく、直せることを前提にした強さです。
現代翻訳 — 今日の住まいに置く
やわらかく、素足で心地よく、その上に直接座れる床。この性質に着目すれば、畳は現代の空間へも翻訳できます。必要なのは、床の一部と、そこで低く過ごしたいという気持ちだけです。
どの型も、三つの原則を変えずにアイデアが考えられています。
素足で歩く。そのまま座れる。置き方で、その表情を変える。
実例のキュレーションは、wanovaのPinterestボードで続けています。
1 畳コーナー
工事をせずに、今日から始められる型です。フローリングの一角に、置き畳を数枚並べます。二枚で座る場所に、四枚で寝転べる広さになります。
大切なのは、部屋の隅にきちんと寄せること。中途半端に浮かせると、ただの敷物に見えてしまいます。壁の二面に沿わせると、そこが独立した場所として立ち上がります。
向く場所:リビングの一角、子どもの遊び場、賃貸
注意:床暖房の上に置く場合は、対応した製品を選びます
2 小上がりの間
床より一段高く、畳の面をつくります。上がるという動作が入るだけで、そこは別の場所になります。腰かける縁ができるので、畳に座る習慣のない方にも入りやすい型です。
段の下は引き出しにできます。畳の部屋がしばしば収納を持たないことを思えば、これは現代ならではの答えです。
向く場所:LDKの一角、窓辺、天井の高い空間
注意:段の高さは35〜40cm前後にすると、腰かけたときに落ち着きます
3 畳のベッド
ベッドの天板を畳にします。マットレスを置かず、直に敷き布団を敷く使い方もできます。
畳の上に寝ると、身体が沈み込みません。硬すぎず、沈みすぎない床の感触は、マットレスとは別のものです。朝、布団を上げれば、そこはまた床に戻ります。
向く場所:寝室、ワンルーム、ゲストルーム
注意:湿気がこもらないよう、床下が抜ける構造を選びます
4 お昼寝用の一枚
置き畳を一枚だけ、窓辺に置きます。二枚でも四枚でもなく、一枚。
そこは寝るための場所でも、座るための場所でもありません。ただ、床に降りてみるための一枚です。畳のある暮らしがどういうものかは、一枚置いて、その上で昼寝をしてみるといちばん早くわかります。
向く場所:窓辺、書斎の足元、まず試したい場合
注意:日の当たる場所は表が早く焼けます。それも味だと思えるかどうかで選んでください
そして、本物を求める方へ — 誂えの和空間
ここまでの4つの型は、いずれもご自身の手で今日から始められる方法です。
しかし、その先を求める方もいらっしゃいます。日本で製作される本物の畳——和の空間そのものを、日本以外の国で実現したい、という場合です。日本の外に、日本そのものの空間を。それが本物を志向する方にとってどれほど大切なことか、私たちはよく理解しています。
wanovaは、和の建築に精通した日本の建築家・職人とともに、海外のご自宅や施設に本格的な和室・茶室をつくっています。床柱の一本、壁の土、畳の藺草——素材は日本で吟味し、設計から施工、仕上げに飾る一点の選定まで一貫して。企画から完成まで、国内外を問わず。
もし心に響くものがあれば、こちらからどうぞ。
畳の歴史
有職畳 — 縁が、座る人を語っていた
畳ははじめ、部屋に敷き詰めるものではありませんでした。板の間に、必要な場所へ必要なだけ置く座具——今でいう置き畳です。「畳」という言葉が「たたむ」に通じるのは、もともと折り畳んで仕舞えるものだったからだとされます(諸説あります)。
一枚ずつ置くものだったからこそ、その一枚には「誰が座るか」が結びついていました。宮中や社寺で用いられてきた有職畳(ゆうそくたたみ)は、その作法を今に伝えるものです。
いちばんわかりやすいのが、畳縁です。縁の柄には格式の順があり、最上とされる繧繝縁(うんげんべり)は天皇・皇后の座や仏像の座に、次いで高麗縁(こうらいべり)が親王や公卿の座に用いられたとされます(時代や文献によって差があります)。雛人形の内裏雛が座っている、あの華やかな縁が繧繝縁です。
つまり畳の縁は、装飾である前に、位を語る記号でした。畳が床材である前に「席」だったことの、いちばん確かな証拠だと思います。この仕事は今も、宮中や社寺の畳を手がける職人に受け継がれています。
敷き詰めへ
部屋の全面に敷き詰めるようになったのは、室町時代の書院造からとされます。床が畳で埋まったことで、部屋の広さは「何畳か」で測られるようになり、座る位置にも順序が生まれました。
江戸時代には町家や農家にも広がり、日本の住まいの標準的な床になります。同時に、畳を仕立て、直す職人の仕事が地域ごとに根を下ろしました。
現代では、洋室化のなかで畳の部屋そのものが減りました。それでも、置き畳や小上がりというかたちで、床に低く座る場所が住まいに戻ってきています。
文化との関係
畳が支えてきたのは、素足と「座」の文化です。
日本の住まいは、玄関で靴を脱ぐところから始まります。素足のまま上がる床だからこそ、床の感触が暮らしの質を直接決めてきました。畳の上を歩くときの、わずかに沈んでまた戻る感じ。夏に足の裏が涼しく、冬にひやりとしない感じ。これは数値で語りにくい性質ですが、住んでみるといちばんはっきりわかる部分です。
そして、床に座るという姿勢が、家の中の関係をつくってきました。上座と下座、客の座る位置、亭主の位置。茶の湯では、畳の目を数えて道具の位置を決めることさえあります。ただし、その細かな作法は流儀により異なります。
畳は、新しいうちは青く、香りが立ちます。時間とともに色は褪せ、飴色に変わっていく。同じ部屋にいながら、床が季節と年月を語る。そういう床材は、そう多くはないと思います。
畳のFAQ
同じ「六畳」でも広さが違うのはなぜですか。
ダニやカビが心配です。
基本は、乾かすことと風を通すことです。こまめに掃除機をかけ、晴れた日には窓を開けて空気を動かす。畳の上に布団を敷きっぱなしにしない。除湿を心がける。この四つで、多くは防げます。すでに発生した場合や、床下からの湿気が疑われる場合は、畳店にご相談ください。
裏返し、表替え、新調は何がどう違いますか。
裏返しは、畳表を外して裏面を使う直し方。表替えは、畳床はそのままに畳表と畳縁を新しくする直し方。新調は、畳床から新しくすることです。順に、傷みの浅い段階から深い段階への対応になります。時期の目安は使い方と環境で大きく変わるので、畳店に見てもらうのが確実です。
畳の上に椅子やベッドを置いても大丈夫ですか。
置けます。ただし、脚の細い家具は畳表がへこみます。脚の下に板や専用のカップを敷いて、荷重を分散させてください。キャスター付きの椅子は、畳の上では傷みが早くなります。