現代の一般的な抹茶は収穫後すぐに粉砕されることが多いですが、熟成抹茶は夏の間、密閉された壺の中で碾茶の状態で熟成されます。この伝統的な工程により、若いお茶の鋭さが和らぎ、丸みを帯びた奥深い甘みへと変化します。
熟成抹茶
日本の文化において、「寝かせる(熟成させる)」という行為は、極めて重要な意味を持っています。
抹茶もまた、てん茶を茶壺に納め、半年ほど熟成させるのが本来の製法です。
あらゆるものに効率化が求められる現代だからこそ、私たちはあえて、この「寝かせる時間」を何よりも大切にしたいと思うのです。
日本の文化を象徴する「抹茶」だからこそ、その本質的なあり方を世に伝え、お茶が持つ真のおいしさと甘みを感じていただきたい。
六本木で、茶を製(つく)る。
熟成抹茶とは?
抹茶は、日本茶文化において、時を越えて受け継がれてきた至高の宝物です。
日光を遮って大切に育まれた若葉を丁寧に摘み取り、てん茶へと乾燥させ、伝統的な石臼でゆっくりと時間をかけて挽く。そうして初めて、目の覚めるような鮮やかなエメラルドグリーンのパウダーが生まれます。
その美しい色合い、深く豊かな香り、そして極上の甘みを最大限に引き出すため、六本木製茶場では、京都宇治の茶師と茶園が丹精込めて育て上げた最高級の茶葉のみを厳選し、じっくりと熟成させてから抹茶へと挽き上げています。
私たちが心を込めてお届けするこの「熟成抹茶」を、ぜひ日常のなかにそっと迎え入れ、心ゆくまでお愉しみください。
京都宇治の老舗茶園が手がける、最高位のてん茶
私たちの熟成抹茶の礎となるてん茶は、1827年創業の京都宇治の老舗茶園によるものです。一般の市場に出回ることのないこの格別な茶葉を、私たちは特別なご縁によって譲り受け、大切に茶壺へと納めています。
お茶の選定と調合における最高位「茶師十段」を冠する当主みずからが、茶畑の育成から製茶に至るすべての工程を一貫して手掛け、その比類なき美しさと品質を守り続けています。
(※具体的な茶園名やてん茶の銘につきましては、各商品ページにてご確認ください)
伝統の本簾被覆(ほんずひふく)
近年では、国の重要無形文化財に指定されるような最高峰の限定品にしか用いられない伝統技法「本簾被覆」。私たちは、この稀少な栽培方法によって育まれた茶葉を使用しています。
収穫の約20日前から茶園全体を天然の「藁(わら)」や「葦簀(よしず)」で覆い、陽の光を遮断します。現代主流となっている合成繊維の黒いネットとは異なり、天然の藁や葦簀は光を絶妙に透かし、雨が降ればそこから滴る水滴さえも天然の養分となって茶葉を潤します。
また、茶葉にネットを直接被せる現代の手法とは違い、棚を組んで覆う本簾被覆は、豊かな通気性と適度な保湿性を併せ持ちます。茶葉にストレスを与えることなく、健やかに、その生命力を引き出すための先人の知恵がここに息づいています。
てん茶を熟成させることで、初めて開花する至高の抹茶
近年の世界的なブームにより、てん茶を寝かせることなく、すぐに抹茶へと挽いてしまうことが現代の主流となりました。かつては当たり前であった本来の姿を、あえて「熟成抹茶」と呼んでご案内せねばならないこと自体、本来の製法を実直に守り継いできた者としては、少し寂しいことなのかもしれません。
茶壺の中で半年ものあいだ時を重ねることで、茶葉の角が取れて味わいは落ち着き、深みある旨味、豊かな香り、そして鮮やかな色彩のすべてが、よりいっそう美しく引き出されるのです。
私たちは、伝統に則り茶壺で育まれたこの熟成抹茶を、確かな矜持とともにお届けいたします。
茶人の正月とも呼ばれる、「口切り」の儀
伝統的な「口切りの茶事」において、茶壺の封が切られるのは晩秋。その年の抹茶が、初めて石臼で挽かれる特別な瞬間です。
茶の湯の世界において、この季節は「茶人の正月」と称され、新しい一年の始まりとして格別な喜びに包まれます。春に茶園で丁寧に手摘みされたてん茶は、東京・六本木で半年ものあいだ熟成の時を重ね、この特別な節目に「熟成抹茶」として初めて皆様のもとへと届けられます。
11月の「口切り」を迎えるまでは、ご予約にて承っております。また、熟成を経た「てん茶」のままの状態で、その風合いをお愉しみいただくことも可能です。
五感で紐解く、抹茶の伝統と現代における愉しみ
学べば学ぶほど、お茶の魅力が見えてくる。
抹茶の世界は、あらゆる細部に至るまで奥深いものです。
水の温度、器の質感、そして茶筅(ちゃせん)が奏でる柔らかなリズム。
そのすべてが、器の中に満ちる至高の一杯のために存在します。
私たちは、この古来より受け継がれてきた伝統を慈しみ、次代へと繋ぐために、茶壺への茶詰めや「口切り」の儀、そして抹茶の美しい点て方や日常での愉しみ方を分かち合う、さまざまな体験の場をご用意しております。
熟成抹茶のよくある質問
「熟成抹茶」は通常の抹茶と何が違うのですか?
この抹茶を点てるのに最適な湯の温度は何度ですか?
75℃~80℃程度に冷ましたお湯のご使用をおすすめします。この温度にすることで、お茶のうま味や香りを十分に引き出しつつ、苦味が出るのを抑えることができます。
熟成抹茶はどのように保管すればよいですか?
鮮やかな色合いと繊細な香りを保つため、強い臭いを発するものの近くを避け、涼しく暗い場所で密閉保存してください。開封後は冷蔵庫で保存し、お早めにお召し上がりいただくことを強くお勧めします。
カフェインは含まれていますか?
はい、抹茶には天然のカフェインが含まれています。しかし、リラクゼーションと覚醒を促すアミノ酸であるL-テアニンも豊富に含まれており、穏やかで集中したエネルギーをもたらします。