千葉・山武の山あいに建つ、築四十年あまりの本格的な日本家屋。
屋根、垂木、梁、そして細部の彫刻まで、当時の職人が六年ほどの歳月をかけて手で刻んだ仕事が、見上げるたびに伝わってくる。
長く工事が中断していたこの家を、遺したいという施主の願いとともに甦らせ、茶室をそなえた逗留の場へと再生した。
現代の快適さは、控えめに織り込んでいる。
離れの茶室は枯山水の飛石の上に浮かび、格天井や彫りの欄間、続き間の畳が、障子ごしに庭の緑へとひらいていく。
宵闇に灯る、離れの茶室
枯山水の飛石の先、浮き床の茶室に灯がともる。
日が落ちると、深い軒と障子のあいだに、静けさだけが残る。
A coffered ceiling of floral motifs
杉板の一枡ごとに、円形の花文を焼きと彫りであらわした格天井。
当時の職人の手が、見上げるたびに違う表情を返す。
古木と石畳のアプローチ
生垣の門をくぐると、年を重ねた大木のかたわらを御影石の道が抜ける。四十年来この家を遺したいという願いが、導いた一本道。
庭へひらく、茶の場
浮き床の縁から障子を払えば、点前の道具ごしに庭と遠くの土蔵が見通せる。
室内と外が、ひと続きの景色になる